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【記者の目】 阪神の経験から考える震災復興 故郷離れ避難し1年半で定住 共同体維持は時間と...

■題 名 【記者の目】 阪神の経験から考える震災復興 故郷離れ避難し1年半で定住 共同体維持は時間との闘い
■日 付 1899年12月31日 ■大分類 新聞等(毎日)
■概要 . 東日本大震災の被災地の復興が進まない。阪神大震阪神大震災(95年)の復興の過程を取材した経験から、あえて「巧遅よりも拙速を等ぶべきだ」と言いたい。
 関西学院大社会学部の荻野昌弘教授らは、自宅を失った被災者129人を95年から98年にかけて3回調査し、彼らがどう移動したか分析した。自宅を再建したり、被災した場所とは別の場所で定住を決意といった移動パターンは被災からほぼ1年半で固定化していた。荻野教授は「避難先での生活が安定すると動けなくなる。共同体を復興するには、定住を決意する前に復興計画を示す必要があることをこの調査は示唆している」と言う。
 大阪大の林敏彦名誉教授らによると、阪神大震災の場合、95年からの5年間に約7・7兆円の復旧・復興事業費が投じられたものの、うち約9割が被災地外に流出した。工事の事業を請け負ったのは主に被災地外のゼネコンだったからだ。神戸経済は震災前の8割程度に縮小した。復旧・復興事業はインフラなどの更新需要の先食いに終わり、安定した新規雇用を生まなかった。
 今回、復興事業に被災者を雇用し、現金を支給する「キャッシュ・フォー・ワーク」が導入されている。がれきの撤去作業に被災者が従事しているのが一例だ。ただし、提唱者の関西大社会安全学部の永松伸吾准教授は「恒久的な雇用ではない」と認める。
 私は農漁業といった地場産業の早期復興と、高齢者介護など福祉産業の充実が重要だと考える。神戸大の中谷武名誉教授が兵庫県の産業連関表を基に、建設主体の復興事業より福祉産業に投資した方が3倍の雇用増が見込めると分析した例がある。東北の被災地は高齢化が進む地域だ。介護を求める人も多いのではないか。
 地域再生の青写真を早期に示し、雇用を創出することが共同体の復興に必要だ。そのために、被災地の自洽体は「復興のためにこの事業が必要だ」という具体案を提示し、東日本大震災復興構想会議で肉付けし、一刻も早く実行に移す必要がある。
■タグ 毎日 記者の目 阪神大震災 荻野昌弘 被災者 定住 林敏彦 復旧・復興費 キャッシュ・フォー・ワーク 永松伸吾 地場産業 介護 福祉産業 中谷武
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